「放浪息子(1)」志村貴子
「敷居の住人」で有名(ということらしいが、自分は一度立ち読みしただけ。)
な志村貴子の新連載、初の単行本。
お話はといえば、
女の子になってみたい男の子と
男の子になってみたい女の子の
気持ちが淡々とそして丁寧に描かれる。
小学校という残酷さを孕む舞台だけに、話が性的トラウマな落としこみ方もありえるところを、
作者の画風が柔らかなのも幸いして、重たさはない。
誰にもいえない秘密を抱える当事者にとっては、それどころではないのだろうけどね。
主人公の「二鳥くん」、腹をくくった「高槻くん」の勇気にかなり救われているはずだぞ。感謝しなさい。
「女の子はいいなぁ… どっちにもなれて。」
って、二鳥くんは呟くわけですけど。女の子の格好してみたらどうなるんだろう。。というのは男の子なら抱いたことのある気持ちです。みんな心のどこかでそういう気持ちを抱いても、ノーカンにするうちにほんとに忘れるんだけどね。
こういう気持ちとはっきりと直面させられるのは、例えば女ばかりの演劇部とかね、普段接する人間が女の子という環境に置かれた時。当時、陸上部所属だったけれども、憧れていたマネージャーの先輩に誘われるまま演劇部に入りましてね。ある日、制服交換してその先輩のスカートをはかされた時には、どーにもフクザツな気分にさせられましたよ。*1
ということを思い出させる一冊。
中学校にあがったら二人の関係が世俗的な男女間の文脈に更に関連づけられるわけですけど、この二人どうなるか見守ってやりたいものです。。*2