RESFEST 2003 --Osaka--

 もともとはバンドのドラマーだったミシェル・ゴンドリー。(へぇ。)彼自身のバンドのビデオといったお蔵出し映像から、近年の代表作を90分で回顧するセッション。

映像の冒頭に本人のご挨拶。"including my first video"とテレ気味に付け加えるように喋るのが印象的。

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さて、彼の作品群、

  • 2D画像を使った3D表現
  • 映像を音声の奴隷として徹底的に使った表現
  • 現在と別の場所・過去・未来・パラレルワールドが交差する表現

ざっとこの3カテゴリーに分類されるのですが、とりわけ私が惹きつけられるのは二番目の映像を音声の奴隷として使った表現。ミシェルの名前を知った、というよりも刻みつけられたのはSTAR GUITAR / THE CHEMICAL BROTHERSのビデオクリップ。(中身はネタバレになるので伏せておくとして)
誰しもどこかで思いついたけど、まだだれもやっていなかったアイデアを、緻密に質感を統一し映像を作り込んで衝撃的な作品としてに送り出されたもの。これは是非とも見て欲しい。

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映像を音声の奴隷として遊ぶ、同様の試みを行った人は日本にもいて、今や慶応SFCの教授となった佐藤雅彦さん。彼はだんご三兄弟の作者として一番有名でしょうけど、CMディレクターとして様々な作品を送り出し続けた人です。90年代始め頃のフジテレビの企業広告のシリーズの一つにその試みが見られて、クリストファー・ロイド(Back to the Futureのドク役)の顔をくりぬいた映像を使って動かし、様々な音の奴隷にして遊ぶというものです。
映像が特に何を表すか曖昧な場合、明確に頭の中のイメージと関連づけられる強い音声があれば、何を表すと解釈するかは音声が規定する、そんな脳味噌の癖を利用した実験的表現。(佐藤雅彦さんもそのようなことを雑誌などで喋っていたと思います。)作品そのものはミシェルゴンドリーのそれと比べると非常に素朴ですが、この時期の彼のCMの作り方が、それ以降のCMに大きく影響を与えた(広告批評)ようです。

それをみて、映像と音の主従関係を逆転させたらどう遊べるか、思いめぐらせたら気づきました。曖昧な音声の認識を映像で規定させて遊んでいるのが、実は「空耳アワー」なのかもしれません。


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三番目の現在と他の場所とのシンクロさせた表現も、部屋の別の時間で起きた事象を記録した8ミリ?映像を、同じ場所に映写して、過去と現実のシンクロを見せているものがありました。この簡単な手法は自主制作の映画で使われても面白い表現だと思います。 さすがに、COME INTO MY WORLD/ KYLIE MINOGUEのようなのは難しいでしょうけど。