「ゆき子のホウレン草」フレデリック・ボワレ

 横浜在住のフランス人作者による「ヌーベル・まんが」。やまだないとらによって新たに提唱されたスタイル。
とのことであるが、確かに従来の漫画とは一線を画している。 ストーリーも大盛り上がりもなく、淡々とフランス男(作者)と日本女性(ゆき子)が少しづつ距離をつめてゆく様子を丁寧に描いていたもの。 描かれる絵も実際に撮影された写真をベースにPhotoshopあたりで加工され、一齣一齣にはめ込まれているのだが、漫画というよりも15分ぐらいの短編映画のような印象を抱かせる。 実際にあっさりと読めてしまったし。 
このあっさりさはなんなんだろう?ほかにも淡々と描いたものは多いけど「ゆき子のホウレン草」は、本当に右から左に流れる感じ。 ひょっとしたら、ストーリーに依存したものではなく、齣の配置が洗練されていないことよるものかもしれない。
そうであるなら、この漫画を紙の上でやるよりも、Flashを使った吹き出し付きの動画にしたほうが、もっと作者の意図したことがやりやすいのかもしれないと思ったり。
先月欧州に行っていて、予想以上の日本の漫画やアニメやゲームの浸透度に驚いてきたところだったが、これからどのようなものが出てくるか楽しみ。

ISBN:4872336054